被害報告No.13

知的障害の養女と3人で静かに幸せ暮らすはずだった。


成年後見制度の実情と制度改革の必要性

 私は現在71歳で個人タクシードライバーをしております。2015年4月に静岡県の知的障害者施設より、今年31歳になる女性を養女として迎え入れ、妻と3人で生活をしております。
 養女として迎え入れた娘とは、2005年4月に養護学校高等部に入学した、娘の帰宅サポートを、区役所に緊急介護人として登録をしていたことから、ボランティアでサポートを行ったことが出会いになります。 


 当初は、知的障害者のサポートは初めてのことで、色々な面で不安もありましたが、娘とのコミュニケーションも十分にとることが出来、信頼関係も苦労はいたしましたが構築することが出来、大きな問題もなく養護学校高等部の3年間サポートすることが出来ました。
 1年生の夏休み以降は、娘の強い希望もあり週末や夏休み、正月休み等は、私共の自宅で過ごすようにもなりました。 
 養護学校を卒業後は、娘の実家近くの福祉施設に通うことになり、実母との話し合いで引き続き娘をサポートすることになりました。

 福祉施設に通いだして1年近くたった時点で、以前より私共が疑問に感じ、心配もしていた実母の娘に対する虐待が明確に判明し、娘の祖父母との話し合いの結果、幼い頃より躾と称し、娘に対して虐待を繰り返し行ってきたことを認めたことから、週末や夏休み、正月休み等、既に私共の自宅で過ごしていたことから、緊急避難的に私共が娘をお預かりすることで、実母や祖父母も了承を致しました。

 その後、3年間大きな問題もなく、水泳教室や体操教室にも通い、明るく元気に過ごすことが出来ておりましたが、2011年12月に突然、区役所の保健福祉課より呼び出しを受け、福祉課職員より娘を静岡県の知的障害者施設に入所させることを通告されました。



 

 何故、区役所保健福祉課の職員が、私共を呼び出し、娘の知的障害者施設入所を通告するのか理解に苦しみました。私共には、事前の相談や話し合いの場も設けて頂けず、娘の健康状態や現状の生活ぶりを確認することも無く、娘本人の入所の意思確認さえ行わず強制的に施設に入所させることに異議を申し立て、障害者の人権を守るよう主張し、保険福祉課責任者と話し合いを行いましたが、実母の施設入所意向が強く、親権が重視されることから、私共の様な赤の他人の主張は全く聞き入れて頂けませんでした。


区が障害者施策として、「障害の有無に関わらず、誰もが住み慣れた地域で自分らしい生活を安心して継続できる社会の実現」という基本理念を掲げ、ノーマライゼーションプランを作成し、区民に訴え協力を求めていたにも関わらず、区役所保健福祉課の主導で2012年1月には、娘は静岡県の山奥にある知的障害者施設に入所させられてしまいました。

 施設入所時の、実母側との約束事でもあった、何時でも娘に面会でき旅行なども、私共と生活していた時と同じように行えるとの約束も、娘が施設入所してしまえばその約束事も反故にされ、娘と会うことさえも許されなくなってしまいました。

 この様な現状を打開するため、障害当事者団体や弁護士等の、お力をお借りし、区役所保健福祉課や知的障害者施設、実母側との交渉の結果、やっと2年振りに娘との面会が果たせました。
 娘と面会が出来た喜びもつかの間、娘を一目見て、あまりにも変わり果てた姿に、喜びが一瞬にして苦悩に代わってしまいました。
 体重が20キロ近く増え、全身に自傷の跡が残り、手の甲や足など等は、一部陥没している個所もあり、あまりの酷さに直視することさえ出来ませんでした。

 娘は、私に飛びついて「お父さん、いつ私は帰れるの」「早く東京に帰り、お友達に会いたい」と涙声で訴えました。私は返事に窮して、ただただ娘を強く抱きしめ涙するしかありませんでした。
 この様な現状を目の当たりにしたことから、弁護士を通じ区役所保健福祉課に対して、地域に戻り生活したいと訴える、本人の意思に反して、知的障害者施設に入所させておくこと自体、精神的、身体的虐待にあたるとして、娘の現状を確認し対処するよう要望書を提出致しましたが、区役所保健福祉課は、全く何の対応もせず回答すらして頂けませんでした。

 区役所保健福祉課が対応して頂けないことから、障害者支援当事者団体や弁護士、新聞記者等の協力者との話し合いの結果、このまま娘を知的障害者施設に入所させておくことは、精神的にも、身体的にも虐待にあたり、娘の人権を著しく損なう結果となると判断し、娘が私の養女として生活することを望んでいることもあり、養女として迎え入れる手続きを弁護士立会いの元、知的障害者施設内で行い、2015年4月に養女として正式に迎い入れ、私共の元に戻りました。

 現在は、時々不安定な様子を見せることもありますが、元気に明るく通所施設にも通い、水泳教室や体操教室、地域のサークル活動等に通い、日々充実した生活を送ることが出来ております。
私が娘を養女として引き取ったことから、2016年8月に実母側から、養子縁組無効の訴訟を起こされ、2017年12月に家庭裁判所にて勝訴、2019年10月に高等裁判所に於いても勝訴、現在最高裁判所に対して実母側が上告中です。
同時に実母側より、娘に対して成年後見制度の申立てがあり、私共は現状では成年後見人の必要性はなく、何の問題も無く日常生活が送れていることから、最高裁まで争いましたが敗訴し、家庭裁判所より弁護士が成年後見人として選任されてしまいました。

以上のように記した事柄が、娘に成年後見人が選任された経緯となります。


成年後見人として選任された成年後見人弁護士は、私共が養子縁組を依頼した弁護士事務所に於いて、2016年2月に成年後見人に選任された挨拶と、今後の注意点を話され、「障害者年金生活者であることから、それに見合った生活を送ること」「旅行等の経費に付いては一切認めない」、「毎月8万円の範囲内で生活をすること」、また、毎月の出納明細と翌月の行動予定を、後見人弁護士事務所にメールにて送る様指示があり、娘と話し合うこともせず10分程度で退席致しました。

娘と直接話すことも無く、娘の希望や考え方などの意思確認もすることなく、全く思いやりのない事務的な対応に、疑問を通り越し不信感を持ちました。

その後、現在まで娘に面談することも全く無く連絡さえありません。養子縁組無効の裁判で、裁判所内で会うこともありますが、娘の現状を確認することさえ致しません。


私が2017年6月に胃癌の手術を受けましたが、娘は心配のあまり精神的に混乱を起こし極度に不安定になり、妻だけでは対応が難しいために、定期的に通院している昭和大学烏山病院の主治医と相談の上で、暫らく入院することになりましたので、成年後見人に連絡致しましたが、娘の状況を確認もすること無く、連絡も頂けませんでした。

金銭管理に付いても問題があるように思えてなりません。成年後見人といえども、成年被後見人の財産は娘本人のものであり、成年後見人の財産ではありません。
成年後見人が選任されて4年になりますが、娘の財産が現在どのようになっているのか、出納明細や年金等の残高が全く分かりません。娘の祖父母が亡くなり、遺産として娘に1000万円が相続されたことは承知しておりますが、一切明示して頂けません。

被後見人の財産状況を、通常の会話も出来、理解力もある本人に開示しないこと自体問題があるように思えてなりません。



被後見人にある程度の財産があるからと言って浪費することではなく、被後見人が日々の生活の中で有意義に使い、常識的な範囲の中で、旅行やサークル活動、水泳、体操教室等に積極的に参加し、心身ともにリフレッシュすることにより、明るく元気に日々生活が送れることは、障害者にとっては大変重要な要素で、それを規制する事などあってはならない事ではないでしょうか。


私の個人的な考えかとも思われますが、本来、成年後見人とは障害者の金銭管理と身上監護の両面を正しく支えることが務めで、その職務内容は大変重いものと受け止めております。

成年後見人との間に、色々と問題点もあることから、成年後見人に対して、話し合いを申し入れましたが、受け入れて頂けず、電話で話をしていても問題解決にならないことから、成年後見人の弁護士事務所を訪ね対応するようお願いしようと致しましたが、忙しいことを理由に断られたため、弁護士事務所で待つことを通告すると、警察を呼ぶとの回答でした。

この様な、聞く耳を持たず、自分の考えのみを主張する弁護士が成年後見人として選任されてしまうことに、大きな問題があるのではないでしょうか。

成年後見人が他の職業を持ちながら、自身の生活に役立てるサイドビジネス的な役割や、極端に言えばアルバイト的な観点から、成年後見人を引き受けることなど有ってはならない事ではないでしょうか。

金銭管理に付いての問題はともかくとして、身上監護に於ける成年後見人制度の内容は、障害者本人の心の支えや、状況に応じた真の支援には程遠い制度のように思えてなりません。

女性の障害者への対応も、生理的及び精神的な女性特有の問題もあり、男性には理解できない感覚もありますので、成年後見人を選任する場合は、自らの状況を正確に伝えることが難しい、女性障害者の立場に配慮し、同性の成年後見人を選任することが大変重要な選任条件ではないでしょうか。

障害者権利条約でも示されているように、障害者本人の人権や基本的自由は尊重されなければなりませんし、民法858条では、「成年後見人は、成年被後見人の生活、養護看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活状況に配慮しなければならない」と明記されております。

家庭裁判所より成年後見人として選任された弁護士の殆どは、知的障害者の日々の生活ぶりや精神状態等は直接対応しておらず、障害当事者の心身の状態や考え方、何を望んでいるかなどは、正しく理解できているとはとても思えません。

通常の弁護士としての多忙な職務の片手間で、身上監護を含む障害者への成年後見人としての支援等は、現実的にきめ細かく配慮の有る対応は非常に難しく、困難ではないでしょうか。
成年後見人は、非常に強い権限を持ち、個々に選任された成年後見人の考え方次第では、成年被後見人にとっては、考え方や行動の自由さえ奪われる結果となり、障害者の人権に関わる大きな問題にもなりかねません。

金銭管理に付いては厳格に行わなければなりませんが、障害者本人が納得のいく話し合いを持ち、意思確認も十分に行い、障害者本人の希望を尊重し、成年後見人だけの意向で成年被後見人の意思に反するようなことは、絶対にあってはならない事と思います。

現行の成年後見人制度の身上監護に付いては、対応範囲が明確に定められておらず、曖昧で制度化されていないのが現状で抜本的な見直しが必要ではないでしょうか。
障害者の考え方や、日常生活等を十分に精査し、真の支援を行うことのできる人を選任しなければ、障害者自身が不幸であり、民法で定められている、「心身の状態及び生活状況に配慮した支援」等できる訳はありません。

成年後見人は、他の職業と兼務することなく、身上監護にも重きを置き、障害者の日常生活や精神状態などの細部に渡り、きめ細かい支援を行える仕組みを構築し、資格を与えるような仕組みを作ることが急務と思われます。

成年後見人は障害者にとって信頼できる大切なパートナーでなければなりません。現状は金銭管理のみに重点が置かれ、身上監護に付いては適切な対応がなされているとはとても思えません。

一度、成年後見人が選任されてしまうと、その任を解くことは事実上不可能な状態で、障害者本人の生き方や、考え方、行動の自由までもが制約を受ける結果になってしまい、このような制度内容では、安心して後見人に委ねることなど出来ません。

被後見人の親等が支援できている状態のときは良いとして、親亡き後の、身上監護の支援が現状の様な制度内容であれば、安心して成年後見人にその後をお任せすることなど出来ず、被後見人の将来を案じてしまいます。

結局は地方の山奥の閉鎖された知的障害者施設に入所する以外、選択肢が残されていないように思われてなりません。

一番の問題点は、金銭管理と身上監護を分けて考えるべきではないかと考えます。それぞれ専門的な分野が全く違い、同一の成年後見人が担当することは極めて不自然で、無理があり、どんなに優秀な方々でも、金銭管理と身上監護の両面に付いて的確な判断が出来るとはとても思えません。
金銭管理に付いては、弁護士や司法書士、会計士などの専門的な機関の方々に、身上監護に付いては、福祉に関する理解があり、障害者本人の生活面を支援でき、障害に付いて理解や知識のある方に、障害者への対応などの講習を受けて頂き、被後見人が信頼し頼れる仕組みを作ることが必須と思われます。
日本の高齢者比率は28.4%と世界一となっております。リタイアしてもまだまだ第一線で働こうと思われている優秀な方々が、沢山いらっしゃるのが現状で、その様な方々のお力をお借りし、障害者への身上監護支援をお願いすることにより、相互に助け合うことが出来るのではないでしょうか。

現在の、成年後見人の中にも、後見人として障害者に寄り添い、障害者の立場に立った配慮有る支援を行っている方もいらっしゃることは承知いたしております。その様な方々の支援状況等、貴重なご意見として参考にして頂くことも、成年後見人制度改革には大変重要な視点ではないでしょうか。

現在の、成年後見制度では、成年被後見人が特に身上監護を受けるにあたり、生活支援や福祉的支援などが、それぞれの被後見人の障害度合い、知的、身体等、痴呆症など個別の問題に応じた支援が行われておらず、行動や考え方にも制約を受けてしまう場合も見受けられます。

成年後見人を受け入れる方々の、個別の状況に応じたきめ細かい対応がなされ、障害者が自由に制約を受けることなく、日々の生活が安心して送れるよう、成年後見制度を改革しなければ、真に成年後見人を必要する方々が救われることはないのではないでしょうか。


令和2年3月17日に、厚生労働省・成年後見制度利用促進専門家会議が開かれ、20名の委員が議論し、成年後見制度利用促進基本計画に係る中間検証報告書が示されました。
纏めとして、今後の後見人等の選任の基本的な考え方が、以下の様に示されております。

★  本人の利益保護の観点からは、後見人となるにふさわしい親族等の身近な支援者がいる場合は、これらの身近な支援者を後見人に選任することが望ましい。
★  中核機関による後見人支援機能が不十分な場合は、専門職後見監督人による親族等後見人の支援を検討。
★  後見人選任後も、後見人の選任形態等を定期的に見直し、状況の変化に応じて柔軟に後見人の交代、追加選任等を行う。

制度利用者側からは、財産保全のみが重視され、本人の意思尊重や生活支援など福祉的な支援が乏しいとの指摘がなされました。

報告書にも示された通り、成年被後見人の生活面を支える身上監護に付いては、福祉的な支援や、本人の意思の尊重などの問題点が指摘されております。しかしながら具体的な支援体制や支援方法などは示されておらず、今後の課題として残されたままです。

現在、成年後見人制度を利用している、特に知的障害者にとっての身上監護は、日々の生活に於いて、大変重要な福祉的支援で有り、その支援体制が明確に定められていない現状では、選任された後見人の支援の内容次第によっては、被後見人が求める支援が受けられないこともあり、何のための後見人制度なのか、大いに疑問が残ります。

身上監護に付いては、成年後見人まかせの対応だけではなく、明確な支援体制や、支援計画を事前に定め、被後見人が制度を利用することによって、不都合が生じ、生活しにくい状況などが起きることの無いよう、十分な配慮が必要ではないでしょうか。

成年後見人を変更することも現状の制度では認められてはおりません。家庭裁判所に於いて、成年後見人が必要と判断され選任されるわけですから、当事者にとっては頼りがいのある支援者としての成年後見人でなければなりません。

成年後見人制度を利用し、被後見人との間に各種の問題が生じた場合、その問題に真摯に対応すべき受け皿が明確化されておらず、家庭裁判所に訴える以外方法はありません。多くの被後見人は、自ら訴えることが出来ない方々で、現状では、問題があったとしても、自ら対応に苦慮しながら我慢せざるを得ないのが現状です。
制度利用者の多くは、他の方の協力がなければ、生活が成り立たない方が、制度利用している訳で、成年後見人に対する依存度の比重は大変大きく、現況の支援制度の中では必要不可欠と思われます。

 この様な現状の中で、成年後見人との間に信頼関係が構築できない場合でも、成年後見人を変更することが出来ないのが現状で、一刻も早く制度改革し、特に障害を持たれた被後見人の日々の生活が安心して送れるような制度に改革することが必須と思われます。

 現在の成年後見人制度の身上監護の内容に付いては、多くの問題点が解消されておらず、早急に対策を講じなければ、現在制度利用している、特に知的障害者にとっては、日々生活する上で安心し不安なく、生活が出来る状態とはとても思えません。
 何の為の成年後見制度で、誰の為の成年後見制度なのでしょうか。制度利用している当事者の支援を一番に考え、対応して頂きたいと心より願います。


 これまで述べてまいりました現状をどうかご理解頂き、今後の成年後見人制度利用の廃止や改革にお力添えを頂きますよう、心よりお願い申し上げます。

現在、養子縁組無効の裁判中でもありますので、住所、氏名は伏せさせて頂きますが、成年後見制度の廃止や改革で、私でお役に立つことが在れば、どの様なことにも対応させて頂きたいと思っておりますので、宜しくお願い致します。

以上  

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