『ここが変だよ成年後見』

連載記事第7回

〈「なぜ後見人?」「いくらで売却?」〉
〈本人の閲覧請求を家裁は拒否〉


次のようなことを知りたい被後見人は多い。
☑ 自分にどうして後見人がついたのか
☑ 誰がどんな理由で後見開始の申し立てをしたのか
☑ どうして自分の家が売られたのか
☑ 自分の財産がどれくらい残っているのか

このような場合家庭裁判所に保管資料を見せるよう求める閲覧請求制度を使うとよい。閲覧の背景には自分に関する手続きをする権利の保障という理想がある。しかし家庭裁判所・後見人・後見をつなぐ機関がこの閲覧請求制度を紹介・説明することは皆無に等しい。実例から閲覧請求の現状と課題を提示する。

東京下町で小料理屋経営してきた 70代女性がいる。認知症の気配が出るや、独居高齢者を嫌う区に後見申し立てをされた。家裁が選任した見ず知らずの司法書士後見人により、店をつぶされ、住んでいたマンションを売られ、女性の相棒だった座敷猫は他人に預けられ1週間で他界した。布団の下は段ボールという浅草界隈の施設での生活も 1年を超えた。

あまりにひどいと不憫と怒りを感じた小料理屋の常連客が車いすになってしまった女性と上野にある後見人司法書士事務所へ行った。
女性「なんで家がないの?」
司法書士「家を売ることは言ったじゃないですか」
女性「聞いてないよ。だれに売ったの?」
司法書士「・・・」
女性「いくらで売ったの?」
司法書士「・・・」
女性「お店はどうしたの?仕事できないじゃない」
司法書士「・・・」

聞いても教えない職業後見人の態度を踏まえ、
女性は今年7月、
自分に後見人がついた経緯を示す「後見開始の申し立て資料」と、
後見開始の審判前に家裁がしたはずの「女性本人へのヒアリング調査報告書」と、
自分の不動産が売却された敬意を示す「住居用不動産売却の許可に関する資料」の閲覧を郵便で家裁に請求した。しかし家裁はこれら資料の閲覧を拒否。

改めて本年十月女性と常連客は東京家裁後見センターにタクシーで出向いた。担当書記官に司法書士後見人とのやり取りを説明したうえで「資料を見せてほしい」と 2度目の閲覧請求の手続きを取ったが、翌日、2度目の「拒否」の電話を家裁がしてきた。
どうして家裁は資料を見せないのか?

本件の場合
1. 後見が必要ないのに区が後見を申し立てるから
2. 後見をつける前にするはずの本人インタビューを家裁がしなかったから
3. 売る必要のない家を後見人が売りとばしたから
などが思い当たる。
自分たち(区・家裁・後見人)のミスを指摘されたくないがために「見せることで誰かが窮地に追い込まれる場合は見せなくてよい」という特例(家事事件手続き法47条4)を使って見せないお粗末さである。
自業自得を棚にあげ、生い先短い本人の知る権利を侵害する家裁に対し、女性は裁判を起こしたいと言っているのが当然の気持ちだろう。
ここで「被後見人が裁判を起こすには自分の後見人にやってもらわなければならない」という民事訴訟法第31条が邪魔になる。被後見人である女性が家裁を訴えることを職業後見人がするであろうか?
そもそも司法書士らからこの裁判はできないので弁護士に頼むことになるが、そうまでして自分に仕事をくれた家裁を職業後見人が訴えるであろうか・答えはノー 、期待できない。被後見人になると裁判さえ起こせなくなりかねない現実がここにある。

被後見人が後見人を訴える場合を想定してみよう。
民事訴訟法31条にならえば
被後見人=原告
後見人=原告代理人=被告となる。
つまり被告が原告代理人を訴えることになり裁判が成立しない。

後見人の性善説でつくられた国民訴訟法31条の矛盾は明らかである。
被後見人から訴えられることがないと高をくくっている職業後見にも少なくない。
見せない家事事件手続き法47条
訴えられない民事訴訟法31条の二つを速やかに是正することで、後見制度の運用は格段に良くなると思われる。

一般社団法人後見の杜 代表 宮内康二

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