『ここが変だよ成年後見』

連載記事第3回

〈ハズレ専門職後見人に不満の嵐〉
〈一旦決まれば「解任」至難の業〉


 知り合いの後見人から「本人(被後見人)の旧友に手紙を出したら、“生きてたか~”と友人が会いに来てくれて、本人が元気になりました」と連絡をいただいた。
 他にも「介護旅行サービスを手配し、飛行機に乗って実家へお連れしました。親戚に会ったり墓参りをしたりうれしい時間を共有できました」や「ガンの告知を受けたので本人と話し合い、何もしないことを本人が自分の言葉でドクターに伝えることができました」という連絡も頂く。後見の質を高めたい一心で「後見人になったら本人をハッピーにする生活プロデューサーになってください」と、後見人養成講座で伝えてきた甲斐があったと嬉しくなる瞬間である。

 一方、当社には以下のような残念な実例も寄せられる。 
 まずは、配偶者である奥様から「ご主人の後見人に言われた」という3例を挙げる。
「主人と温泉に行こうにも後見人がお金を出してくれません。“新聞も読めないでしょ”と愛読してきた新聞も解約され、主人は落ち込んでいます」
「今まで月25万円で生活してきましたが“今後は10万円でやってください、足りない分はへそくりを切り崩してください”と言われました。“何でそうなるんだ!”と主人は起こりますが、後見人は耳を傾けません」
「“ご主人名義の家を売って医療費に充てたいので出て行ってもらえませんか?できれば離婚も考えて頂きたい。奥様はまだ働けるだろうし。19歳の息子さんには早く社会人になって自立してもらいたいですね”と言われました。後遺症がひどい主人は話すこともできません」

次に、子供が「親の後見人から言われた」という実例を3つ紹介する。
「認知症になって化粧水も何もないでしょう。あなたが勝手に母さんのために買ったのだからお母さんのお金からは1年も払いません」
「お母さんはあなたに会いたくないと言っているから、面談は控えてください。来てもお帰り頂くよう施設には手配してあります」
「後見前にお父さんがあなたに書いた遺言は、あなたが書かせたものであろうから無効、これから裁判を起こします」
いずれも家族を差し置いて家裁に選任された弁護士や司法書士後見人の言動である。怒った親族はそんな後見人を選任した家裁に苦情を入れるが「後見人とよく話あってみてください」と突き放されることがほとんど。「話会えるならとっくに話し合っていますよ!」と親族は再び憤慨するという悪循環だ。
家裁がダメならと、弁護士会へ懲戒請求する人もいる。しかし、このようなケースで会員である弁護士を懲戒した弁護士会を私は知らない。横領等がない限り弁護士会は弁護士を懲戒しないのである。司法書士の場合は法務局へ懲戒請求することになるが同様の対応である。犯罪や違法性がなければ問題がない=よい、とする後見業界には「質」という概念がそもそもないのだろう。

後見の質(Quality of Guardian)に疑問を抱くのは家族だけではない。利用者の後見人に苦慮する介護事業所の実例を4つ紹介しよう。
「値上げについて後見人が納得せず抵抗し、市役所にクレームを入れた」
後見人がいても利用料が滞納される」
「“財産管理以外はしない”と断言した後見人は、本人に会いに来ず、サービス計画書に署名しない」
「ついたばかりの後見人が解約を申し出て本人をどこかに連れ去ってしまった。職員一同、解約される覚えはなく不可解だった」
 グラフは、後見人の辞任・解任の申し立て件数の推移である。
 いっとき問題になった、使い込みを主な原因とする解任件数は、平成26年の1095件をピークに収束している。

 同じ使い込みでも、親族後見人が、本人のお金の一部を使ってお見舞い用の車を買ったり、孫の学費に充てたり、家計を補充するケースに比べ、見ず知らずの弁護士や司法書士が、その事務所経費や飲食代、自らの投資や選挙資金に被後見人のお金を使い込む場合では話が違う。被後見人本人に聞くと「家族だから使っても別にいいよ」というケースは少なくない。「使い込み」と一括りにせず、お金の使われ方を吟味する必要がある。

 辞任については「後見人の病気ゆえ」というケースもあるが、多くの場合、数十万円程度の使い込み、かなりのサボり、人間関係の不成立などが理由であることが多い。 
 量的に見ると、20万件程度の利用において平成27年と平成28年の2年だけで合計2万件以上の辞任件数がある。全体に対し1割近い辞任(人事異動)ということで、選任に問題があったか、後見開始後のモニタリングが手薄であったと言わざるを得ない。

 加えて私は、そもそものニーズをアセスメントしていないことに問題があると指摘してきた。本人に代わってすべき行為(後見ニーズ)を踏まえ、それを実行するための後見プランを策定すれば、そのプランを履行できる人が選任されるようになるはずと考えているからだ。当社では「後見ニーズ」を76項目に整理し、後見の必要度や後見プランの策定に活用し、親族および職業後見人に重宝がられている。
 後見の質を高める方策として、後見人の取引先である介護事業者や被後見人の身内から後見人に対する評価を求めるのも一案かもしれない。その評価を家裁が後見報酬に反映させればなおよい。
 最高裁が年明けに「これからは親族後見で行きます」と家裁にむけて宣言したが、裁判官の専権事項であり、強制できるものではない。弁護士が親族かという議論や使い込みがなければいいという価値観から脱却し、後見の質を高める方策について知恵を絞るべきである。

一般社団法人後見の杜 代表 宮内康二

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