『ここが変だよ成年後見』

連載記事第10回

〈「後見人は親族に」が国民の願い〉
〈施設、自治体も取り組み検討を〉

 

「いったい本来は誰が後見人になればよいのか」と読者から質問を受けた。
現行法や現実の声を踏まえると、回答は、親族、施設、自治体、の3択である。


民法847条

「後見人の欠格事由」

次に掲げる者は、後見人となることができない。

一  未成年者
二  家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三  破産者
四  被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
五  行方の知れない者


①親族後見がよい理由

親族には本人を知っているという後見人として必要かつ最高の資質がある。「本人ならこうするだろうな(こうしないだろうな)という「本人との近似性」は後見の本質で、後見業務の判断根拠となる。
 後見人の仕事は難しくない。主な仕事は、本人の代わりに、銀行に行ってお金を下ろす、施設と契約しその利用料を払う、住んでいた家を処分することなどである。老親のため、後見無しでこの程度の仕事をやっている・できている親族は何百万人もいるから、親族に能力的支障はない。
 この資格がないと後見人になれないという法律はない。弁護士でないと後見人になれないとか、司法書士ならリーガルサポートの会員でないと後見人になれないとか、社会福祉士なら、ぱあとなあの会員でないと後見人になれないという法律もない。あるのは「20歳以上で、自己破産しておらず、住所があり、本人と裁判中でない人なら、誰も後見人になれる」ことを逆に表現する民法847条だけだ。よって、親族に後見人になれない法的理由はない。

 親族後見人のほとんどが無償である。正確には、家庭裁判所に後見人としての報酬を請求すれば、本人の財産から報酬を得られるのに、この請求をしない親族がおおい。親族は義務として後見人になっており、弁護士や司法書士のように、お金になる案件は受ける、お金にならない案件はうけないという打算的取捨選択はしない。
  75歳以上の男性437名を対象に「後見人は誰が良いか」という趣旨を聞いたところ、96%の人が「親族」と回答した。この数字は重く受け止めなければならない。
 現在、親族後見人以外の後見人が8割近くを占める。家庭裁判所は本人の意向を無視して家族以外を選任し、弁護士等は本人の意向に反し後見人の任についてしまっていることになる。
 「親族後見人は横領するからだダメ」という報道もたまにでる。これは自称専門職後見人の正当化を目的とする広報活動に過ぎず、ほとんどの親族が後見業務をきちんと担っている現実を反映したものではないから軽視してよい。  

 


②施設後見がよい理由

 家族がいない場合は施設後見がよい。施設は入居者との接点が多いからである。「施設の人にお願いするしかない」という高齢者は多い。障碍者の場合、得に障害をもつ本人に兄弟姉妹がいない場合、「施設に後見人になってほしい」という親御さんはなおのこと多い。「やっていいなら後見やりますよ」という施設経営者も増加している。社会福祉法人やNPO法人に限らず、在宅介護サービス等を展開する株式会社が、定款を変更し、後見業界に参入してきている。介護周辺の福祉タクシーや葬儀社なども参入を検討している。

 入居者の後見人として、施設の人が、銀行へ行ってお金を下すことは想像できよう。同じく保険会社に保険金を請求したり、本人の株や不動産を処分したり、入院の契約や費用を払うシーンを想像するのも難しくない。
 入居者の後見人として、施設の人が、施設と契約し、サービス内容を確認し、費用を払うのはどうだろうか。自分が自分と契約し、自分が自分に説明し、自腹ではないが自分が自分に払うことになり、一人二役・自己契約・利益相反になってしまう。
 
 これについては、施設との取引だけ施設以外の人がやればよい。実務的には、任意後見の場合は施設以外の誰かを施設との取引担当にしておけばよい。法定後見の場合は施設との取引について特別代理人を立てれば利益相反は回避できる。
  総じて「利益相反」という概念にとらわれて入居者の後見人になることをあきらめる必要はない。年に一回も来ない弁護士後見人に100万円ちかくとられるくらいなら、施設がその半分で後見業務を行うことは、お客様にも施設にも好都合である。



③自治体後見がよい理由

   自治体が住民の後見人になるのも可能である。海外の前例はあるし、国内においても法律上の問題点はない。

  「自治体後見」について7年前に研究したことがある。総務省自治行政局は「自治体が後見人になることは法律上可能と理解している」と回答した。最高裁家庭局は。自治体が後見人になるなら、
①利益相反を回避する
②部局が担当すること、の2条件を提示した。

①は、要介護認定の不服申し立て等について特別代理人を立てることで回避できるから問題はない。
②は、熱意ある職員が異動しても後見事務を続ける個人受け状態を作らないようにということであったから、介護保険課や高齢者支援課が後見をすればよい。 

 後見の担い手が少ない割に後見の需要が多い人口数千人の村において自治体後見は現実的解決策である。この点、某村で某案件について具体的に協議したが、本人死亡につき立ち消えになったことがある。認知症のまちづくりで有名な某町長は自治体後見に興味を示したが、担当課長は「町で後見人になれるとなると社協にやらせようとしてきた説明がつかなくなるから勘弁して欲しい」と発言し これまた立ちいかなくなった事実がある。
 
 自治体は、認知症等で困っている住民に第三者後見人をつける申立てばかりに専心せず、自治体自身が困っている後見人になる申立てをすべきである。自治体という法人後見に弁護士監督人がつくことはないだろうから自治体後見はコスト的にも事務的にも効率が良い。今年に入り最高裁が「後見人は親族でいきます!」みたいなメッセージを出した。年末に差し掛かり「本人意思を尊重する運用をします!」みたいなメッセージを出したが「成年後見人は(中略)成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」という民法858条は2000年からスタートしている。最高裁に後見を預けるのは限界かもしれない。

   自治体が住民の後見人になるのも可能である。海外の前例はあるし、国内においても法律上の問題点はない。
  「自治体後見」について7年前に研究したことがある。総務省自治行政局は「自治体が後見人になることは法律上可能と理解している」と回答した。最高裁家庭局は。自治体が後見人になるなら、①利益相反を回避する②部局が担当すること、の2条件を提示した。①は、要介護認定の不服申し立て等について特別代理人を立てることで回避できるから問題はない。②は、熱意ある職員が異動しても後見事務を続ける個人受け状態を作らないようにということであったから、介護保険課や高齢者支援課が後見をすればよい。 

 後見の担い手が少ない割に後見の需要が多い人口数千人の村において自治体後見は現実的解決策である。この点、某村で某案件について具体的に協議したが、本人死亡につき立ち消えになったことがある。認知症のまちづくりで有名な某町長は自治体後見に興味を示したが、担当課長は「町で後見人になれるとなると社協にやらせようとしてきた説明がつかなくなるから勘弁して欲しい」と発言しこれまた立ちいかなくなった事実がある。
 
 自治体は、認知症等で困っている住民に第三者後見人をつける申立てばかりに専心せず、自治体自身が困っている後見人になる申立てをすべきである。自治体という法人後見に弁護士監督人がつくことはないだろうから自治体後見はコスト的にも事務的にも効率が良い。今年に入り最高裁が「後見人は親族でいきます!」みたいなメッセージを出した。年末に差し掛かり「本人意思を尊重する運用をします!」みたいなメッセージを出したが「成年後見人は(中略)成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」という民法858条は2000年からスタートしている。最高裁に後見を預けるのは限界かもしれない。




一般社団法人後見の杜 代表 宮内康二

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