アメリカ後見改革の動向


社会福祉士  越川文雄氏


第13回 【Ⅳ 制度改革へ向けての問題提起、計画、試行錯誤、提言】

3 モデル法UGCOAA策定


(David English等による「全国後見会議」(National Conference on Guardianship2016)大会プレゼンテーション「新統一後見法の変更点」(Changes Coming to the Uniform Guardianship Act)より抜粋抄訳)

(1) 改正法案の目標

後見申立てを受けた本人及び被後見人の権利を守り、尊重する。

第3回全国後見サミットで承認された「本人中心」の考えを反映させる。

キーとなる目標達成が全ての関係者にとってより容易なものとなるような規定、システムを促進する。

(2) 変更点

① 聴聞における手続き上の権利(procedural rights at the initial hearing)

(a)後見申立てを受けた本人が聴聞に出席すべきという一般ルールの例外を次の場合に限定する。

開催通知を受けた後、本人が一貫して、或は繰り返し出席を拒否する場合

本人が参加する方法が実際上無く、しかも支援を受けても参加する能力が無い場合。

(b)遺言や事前の裁判所の承認を受けていない書面による後見人指名を認める条文を削除。

② 「より制約の少ない後見代替」の推進

技術支援なり意思決定支援が本人ニーズに対応できる場合には後見人選任を禁ずる。

「限定された命令」を申立人が選び出すこと、及び裁判所が作成することを容易にする申立て様式を法案に含める。

包括後見の申立て書には実施中或は実施済みの代替手段を記載するよう要求する。

包括後見を認める裁判所に対しては、限定後見や後見代替では十分ニーズに対応できない理由を明記するよう義務付ける。

後見の代わりに「より制約の少ない方法」で対応できる場合には「保護措置」を裁判所が出すことを認める。

③ 後見人のガイダンス

医療意思決定を含め、より明確な意思決定の基準を設けた。

財産管理又は身上監護の後見人が裁判所から指示を仰ぐオプションとそれに一貫して従った者の免責を付与する。

医療代理人や事実上の代理人(attorneys-in-fact)を含め事前に指名された者の役割を明確化した。

逆に裁判所の指示が無くてもたとえ後見人が指名されても彼らの権限は保全される。

④ モニタリングと報酬

カギとなる変化や疑わしい行為についての通報をしてもらう人の範囲を裁判所命令が決めるデフォルト方式を取ることにより、不正等についての裁判所の探知機能を増やす。

後見人の報酬を決める重要要素を明確化する。

⑤訪問とコミュニケーション

本人と第3者とのコミュニケーション、訪問、交流を限定する後見人の機能を制限する。

その限界は法定の承認か特定の人が身体、精神、財産上の重大な害をもたらすリスクがある場合である。

その人にとって重要な人との交流が可能な住居を優先する。

成人した子供及び配偶者・家庭内のパートナーは本人の死や状態の大きな変化についての通知をうけるデフォルトルールを確立する。

⑥ 基本的権利

裁判所は投票権、婚姻権を失う場合にはその旨を明確に説明しなければならない。

⑦ 本人中心の計画(person-centered plans)

本人中心の計画(例えば、目標、生活の手配(living arrangements)、支援サービス、活動、訪問)作りを後見人に義務付ける。

1997年法(UGPPA)では財産管理後見人のみに諸計画作成を義務付けていた。

裁判所に対しては、計画のレビューと計画適合性のモニタリングを要求する。

⑧ 後見人選任後の手続き上の権利

本人に対し自らが持つ諸権利について通知するよう裁判所に義務付ける。

後見命令の修正、終了或は選任者の排除について弁護人の助力を求めることが出来ると規定している。

後見人選任の再考を求める引き金規定を追加する。

選任変更をしようとする本人の努力に反対するための費用を後見人が課金する権限を限定する。

⑨ 財産管理後見人

財産管理後見人の不正に備えボンドを作成する。

有償、プロの財産管理後見人(paid, professional conservators)に対してはボンドを必須とする。

財産管理後見人の意思決定基準を明確にする。

財産管理後見人はそうすることで本人財産保全に失敗したり、本人福祉や利益を危険にさらすことが無ければ、そうした本人の意思決定に沿った決定をする。

投資に当たっての考えるべき要因を規定する。

「統一プルーデント・インベスター法」(the Uniform Prudent Investors Act)の「プルーデント・インベスター基準」(prudent investor standards)を借用する。公的扶助(例えばメデイケード)受給の資格を保持するための金銭管理の仕組み創り(structure finances to establish eligibility for public benefits)の権限を財産管理後見人に与える。

資産が十分無い場合を除き、不動産及び動産の保険を掛けることを財産管理後見人に義務付ける。

或は、財産が十分な価値が無い、保険に不適である等の場合でなければ同様である。

サービス事業者、その関係事業から僅かでも供与を受けた場合には、財産管理後見人はその旨を報告する義務を設けた。

⑩ 未成年者後見の近代化

申立て通知を受ける人のリストを拡大する。

ある状況下では未成年者のために代理人選任を義務付ける。

未成年者の意向だと後見人が考える要求事項を含め未成年者を極力意思決定に巻き込む配慮をする。

検認裁判所と家族・少年裁判所の間のより良い調整を可能とすることを目指している。



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