アメリカ後見改革の動向


社会福祉士  越川文雄氏


第13回 【Ⅳ 制度改革へ向けての問題提起、計画、試行錯誤、提言】

2 州裁判所グループによる「成年後見イニシャテイブ」計画


2016年に「全国高齢者・裁判所センター」(CEC)と「州主席裁判官会議」(CCJ)及び「州裁判所事務局長会議 」(COSCA)の両グループの共同委員会(the CCJ/COSCA Joint Committee on Elders and the Courts)が「成年後見イニシャテイブ」を策定した。

この使命として後見事件に対する裁判所の対応を改善することとし、特に「より制約の少ない後見代替」の利用、被後見人の権利の優越性確保、モニターと監督の活発化、手続きの近代化、被後見人の権利回復を推進することとしている。

その目標としては、

(1)次の関係機関間の連携と維持:①司法団体(CCJ , COSCA , NCPJ, 「全国裁判官協会」(American Judges Association :AJA), 「全国裁判所運営協会」(National Association for Court Management)等)②連邦機関(「消費者保護局」, 「コミュニテイ・リビング局」(ACL), 「社会保障局」(SSA),「婦女暴行対策事務所」(Office for Violence Against Women), 司法省, 「犯罪被害者対策事務所」(Office for Victims of Crime)等)③後見人や「全国後見協会」(National Guardianship Association), AARP, 「米国法曹協会」(ABA),「 成人保護サービス協会」(National Adult Protective Services Association)④WINGS

(2)個人の権利の保護、拡大:①持続的代理権、SDM契約等「より制約の少ない後見代替」の利用②本人の能力と希望に基づく限定後見を適切に適用③後見へのSDM導入④被後見人の権利回復戦略重視⑤申立て時及び後見開始後における特別弁護人利用の強化等

(3)後見手続きの近代化、透明化:①手続きの電子化②後見基礎データの収集整理③「より制約の少ない後見代替」による対応可能性と後見利用の必要性に関する文書の整理④後見効果の評価システム開発等

(4)審判手続きと監視の強化:①裁判官、裁判所職員の毎年の後見人からの報告書についてのレビュー、審査に関するトレーニング②後見人候補者についてのボンド及びバックグランドチェックを要求③レビューを簡素化するための技術開発④捜査、審査、モニターの汎用モデル開発⑤後見人による虐待の事前予知、早期対応等

こうした目標達成に向けての具体的プロジェクトとして①「後見審判改良プログラム」(Guardianship Court Improvement Program:GCIP)②「後見アカウンタビリテイプロジェクト」(Conservatorship/Guardianship Accountability Project:CAP)③後見業務改善に関する全米州裁判所サミット開催④後見人による虐待対応プロトコルの確立⑤Mentor Guardianship Court Program⑥後見効果の評価システム開発⑦後見人等の遠隔教育システム開発(連邦司法省の「高齢者公正イニシャテイブ」(Elder Justice Initiative)を挙げている。この分野の全国的な改革を進めるため、このイニシャテイブに対し連邦の支援を求めた。「全国高齢者・裁判所センター」(CEC) がこのイニシャテイブの目標に向けての取り纏め機関(the“umbrella” organization )として機能することになるということである。2016年には州裁判所事務局内に後見の運用改善のためのコンタクトポイントを設定した。



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