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これまでの成年後見制度に関連する国賠の資料

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Pick Up 1

成年後見人横領、国賠認めず
=家裁の監督責任否定
東京地裁 

成年後見人だった弁護士に預金を横領されたのは、財産調査を怠った東京家裁に監督責任があるとして、高齢女性2人が国に約7300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(鈴木正紀裁判長)は19日、請求を棄却した。


 鈴木裁判長は、「高い職業倫理に照らし、弁護士の場合は必要最低限の報告を求める」とした東京家裁の運用は違法と言えないと指摘。預金通帳の写しや収支報告書など詳細な書類を提出させるべきだったとする原告側の主張を退けた。 

Pick Up 2

成年後見人の財産管理で使途不明金「家事審判官の監督責任」認定…国に1300万円賠償命令 京都地裁

成年後見人の財産管理で多額の使途不明金が生じたのは、京都家裁の家事審判官(裁判官)や調査官が監督を怠ったからだとして、京都府に住む被後見人の女性の兄が国に4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(久保田浩史裁判長)は10日、家事審判官の責任を認め、国に約1300万円の支払いを命じた。(2018.1.10 産経WESTより)

成年後見人の財産管理で多額の使途不明金が生じたのは、京都家裁の家事審判官(裁判官)や調査官が監督を怠ったからだとして、京都府に住む被後見人の女性の兄が国に4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(久保田浩史裁判長)は10日、家事審判官の責任を認め、国に約1300万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性の後見人は継母で、平成元年から女性が亡くなるまで約20年間、財産を管理。兄は女性の遺産相続人だった。継母は女性の預金口座から払い戻しを繰り返し、19年(2007年)3月以降で1900万円余りの使途不明金があったが、家事審判官は「後見事務の遂行状況は良好」などとして事態を把握せず、確認をしなかった。継母は2012年に死亡した。
 久保田裁判長は、家事審判官が19年(2007年)以降、継母の事務が適切に行われているか確認しなかったことを「成年後見人の監督の目的、範囲を著しく逸脱した」と指摘。継母はそれ以前にも使途不明金や不適切な支出が指摘されていたことを踏まえ、「確認の手続きを取っていれば、不適切な支出を防止できた」とした。 

判例をダウンロード出来ます

平成27(ワ)2090
事件名   国家賠償請求事件  
裁判年月日  平成30年1月10日  
裁判所名・部   京都地方裁判所  第3民事部 

Pick Up 3

国に230万円賠償命令 後見人横領、広島高裁が一審判決変更

家裁が選任した成年後見人の親類女性(42)に財産を横領されたとして、広島県福山市の男性(55)が国に約3500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、広島高裁は20日、男性側敗訴の一審広島地裁判決を変更し、231万円の支払いを命じた。
(2012/2/21 日本経済新聞より)

判例をダウンロード出来ます

平成22(ネ)450
事件名   損害賠償請求控訴事件  
裁判年月日   平成24年2月20日  
裁判所名・部   広島高等裁判所  第4部  




           
原審裁判所名   広島地方裁判所  福山支部  
原審事件番号  平成21(ワ)252  
裁判年月日  2009年3月24日

原審結果     棄却 (231万円支払い命令は変わらず)

1 成年後見人が被後見人の財産を横領した場合において,家事審判官による成年後見人の選任や後見監督が,被害を受けた被後見人との関係で国家賠償法1条1項の適用上違法となるのは,具体的事情の下において,家事審判官に与えられた権限を逸脱して著しく合理性を欠くと認められる場合に限られる。

2 成年後見人らが被後見人の預金から金員を払い戻してこれを着服するという横領を行っていたにもかかわらず,これを認識した家事審判官が更なる横領を防止する適切な監督処分をしなかったことが,家事審判官に与えられた権限を逸脱して著しく合理性を欠くと認められる場合に当たるとされた事例 

裁判所HPより


リーガルトピックス
成年後見制度と国の責任 弁護士 相内真一 Websiteより

国賠を認めたケース(広島)

1. 

成年後見制度は、民法の一部を改正する法律案、任意後見契約に関する法律、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律、後見登記等に関する法律という4つの法律をセットにして、2000年4月1日、介護保険法と同時に施行された制度です。その制度趣旨は、概要、判断能力(事理弁識能力)の不十分な者を保護するため、一定の場合に本人の行為能力を制限するとともに本人のために法律行為を行い、または、本人による法律行為を助ける者を選任するということにあります。

 介護保険制度が広く利用されていることは周知のとおりですが、成年後見制度も以下に示す通り、申立件数(後見、保佐・補助を含む総数)は増加の一途を辿っています(最高裁 「成年後見関係事件の概況 平成24年1月~12月」から引用)。

 

  年   申立件数 (うち、後見開始案件 )

  平成20年  26,459件 ( 22,632件 ) 

  平成21年   27,397件 (22,983件 ) 

  平成22年      30,079件 (24,905件 ) 

  平成23年   31,402件 ( 25,905件)  

  平成24年   34,689件 (28,472件)   

 

 しかしながら、昨今は、後見人による不祥事(成年被後見人の預貯金の横領)も少なからず発生しており、そのことは、成年後見制度に対する不信を招いてしまう由々しき事態です。

 本稿では、成年後見人の不祥事があった事案において、国の責任(家庭裁判所家事審判官の職務上の義務違背の有無)が争点になった事案2件(一件は国の責任が認められ、もう一件は国の責任が否定されました)をご紹介し、後見人に対する国の監督責任について考えてみたいと思います。

2 .

 まず、国の責任を認めたと数少ない案件として、広島高等裁判所平成24年2月20日判決(確定)があります。

 この案件は、以下の通り、当初からかなり特殊な案件でした。

 

申 立 ・・・ 

被後見人の親族らが、被後見人の高校時代の担任教諭の妻に相談の上、申立てを行った(申立時点で、弁護士や司法書士の関与無し)。

申立のきっかけ ・・

被後見人が交通事故に遭って植物人間状態となり、加害者が契約していた保険会社から多額の保険金が支払われる見込みになったことから、保険会社の勧めにより、被後見人の親族が成年後見の申立てを行なった(後見開始の審判の後、保険会社との間で和解契約が成立し、4770万円が支払われた)。

申立人自身の問題点 ・・・

申立人は自らを後見人候補者として申立し、調査官調査を経て、申立人が後見人に選任された。しかし、申立人(成年後見人)は、それまでに、中程度精神遅滞と判定されていて障害程度Bの療育手帳が交付されていたのに、調査官調査の段階で、その事実を、裁判所は全く把握できていなかった(申立人からの自己申告も無かった)。


後見人の横領行為と裁判所の対応 ・・・ 

  後見開始の後、2回目の後見監督の際(1年に1度、後見監督事件が立件されて、後見人から裁判所に収支報告をする旨、当初に定められていた)の調査官の調査によって3600万円余の使途不明金があることが発覚した。調査官は担当家事審判官(裁判官)に対して、使途不明金発覚の事実、新たに第三者(弁護士)を後見人に加えて財産管理をその者に任せ、従前の後見人の権限を身上監護のみに留める必要があること等を報告した。 

担当家事審判官は、上記の調査報告書が提出されてから約4か月後に弁護士を成年後見人に選任し、更に、それから約3か月後に従来の後見人を解任する旨、審判をした。

上記調査報告書が提出されてから、二人目の後見人が選任されるまでの間に、従前の後見人は、更に、231万円を着服していた。

刑事事件 ・・・ 

裁判所は、従前の後見人を業務上横領により告発し、懲役1年8月の刑に処する旨の判決が言い渡された。尚、一連の着服のうち、165万円余の着服行為については、被告人(従前の後見人)は躁状態及び知的障害のため心神耗弱状態にあったと認定されたが、それ以外の大部分の着服行為に関しては責任能力が認められた。 


 以上の経過のもとに、新たに後見人に選任された弁護士が、国に対して、損害賠償請求訴訟を提起しました。 

3 .

判決では、従前の後見人を解任したのが横領発覚から7か月も後のことであり、横領行為を阻止したのは新たな後見人が金融機関に対して、従前の後見人が管理していた預金の支払いを停止するように求めたことによるものであることに着目し、担当家事審判官が、放置すれば更なる横領がなされる可能性が高いことを認識しながらそれを防止すべき適切なき監督処分をしなかった(要するに、家事審判官の監督が遅きに失した)ことは国家賠償法1条所定の適用上違法であり、過失があったとして、金231万円の範囲で、原告の請求を認めました。


国賠が認められなかったケース(大阪)


4 .
 他方、大阪地方裁判所堺支部平成25年3月14日判決の事例は次の通りです。
 この事案は、成年後見監督人として弁護士が選任されていた事案で、成年後見人に選任されていた被後見人の親族が被後見人の預貯金を横領していました。後見監督人は、文字通り後見人の職務遂行を監督すべき立場にあり、そのために、何時にても後見人に対して後見事務の報告を請求し、財産目録の提出を請求する等して、後見事務の調査、本人の財産状況の調査をして、必要に応じて、家庭裁判所の必要な処分の命令を求める申立てを行い、後見人の解任の申立権限も認められています。
 従って、後見監督人の存在は、後見人による適正な後見事務の担保となり、後見人の不祥事に対する大きな防波堤になるはずでした。
 ところが、本件では、後見監督人は、裁判所から具体的な指示が無かったことなどを理由に、後見人に対して、上記の権限を用いて各種書類の提出を求めること等を含め、3年5ヶ月の間、一切の調査をしていませんでした。
そして、この間に、後見人による横領行為が行われてしまいました。
 従って、この後見監督人が、被後見人本人に対して、賠償の責めを負うことは当然のことです。
 問題は、国(裁判所)も、後見人から収支計算書等が提出されていないことに対して、一切、何らの指示も監督もしていなかったことです。
 前述の広島高裁の判決では、
『家事審判官が職権で行う成年後見人の選任やその後見監督は、審判の形式をもって行われるものの、その性質は後見的な立場から行う行政作用に類するもの』
であり、
 『当該裁判官が違法または不当な目的をもって裁判をしたなどの特別事情がある場合に限定されるものではない』と判断しました。
 この法理をもってすれば、大阪地裁堺支部の案件でも、国(家事審判官)が「後見的立場からの監督」を十分に行っていなかったという結論になりそうです。
 しかし、本件では、国の責任は否定されました。判決では、国(家事審判官)は、後見監督人から後見人の不正行為が疑われるような報告を受けたときに必要な監督権限を行使するものであり、後見監督人から不正行為等に関する格別の報告がなされていないときに、裁判所が能動的に調査等の権限を行使しなかったとしても問題ではない、という理由付で、国の責任を否定しました。そして、国が責任を負うべき場合とは、「当該裁判官が違法または不当な目的をもって裁判をしたなどの特別事情がある場合」に限定されるという立場を明示しました。
5 .
 以上の通り、後見人の不祥事に対する国(家事審判官)の責任について、二つの判決は異なった立場に立っており、判決結果も異なった内容になりました。
 確かに、冒頭に記載しました通り、成年後見案件が急増している中で、裁判所が、「常に、全事件について」「能動的に」権限を行使しなければならないとすれば、「裁判所がパンクしてしまう」ことは明らかであって、そのような職務姿勢を裁判所に求めることは、現実的ではありません。
 しかし、翻ってみると、成年後見制度は、判断能力が不十分な人たちを保護し、その福利を図るための制度です。その意味で、家事審判官の職務が「後見的で行政的」であることは、間違いありません。
 大阪地裁堺支部の事案では、せっかく後見監督人が選任されていたのに、監督人は全く活動をしていなかったということが明らかになっています。しかも、後見人から裁判所に対して定期的に提出されるべき財産状況の報告書や収支計算書は全く提出されていませんでした。従って、家事審判官としては、少なくとも、後見監督人に対して、監督人として有する調査権限を行使して、後見人に関係書類を提出させるように指導したり、監督人自ら適切な調査を行うように指示監督すべきでした。その意味で、国(家事審判官)が、「後見的立場」からの監督を遺漏なく行っていたとは言い難い事案であることは明らかです。
 後見監督人として弁護士を選任しているから、監督人がちゃんとやってくれるはずである、という裁判所から弁護士への期待があることは当然でしょう。本件の弁護士たる監督人がその期待に添えなかったということは、極めて遺憾なことであり、到底弁解の余地はありません。
 しかし、裁判所が選任した監督人が十分に監督機能を果たしていない兆候があれば、裁判所がそれを監督する最後の砦になります。又、適切な監督権限を行使する能力のない弁護士を監督人に選任してしまったという面では、発生してしまった損害に対して、裁判所(国)も、責任の一端を負うべき立場にあると評価できるでしょう。
 そもそも、裁判制度は、三審制度をとっていること自体、人智や人間の能力に対して全幅の信頼を常に置くことが出来るわけではない、ということを前提としているはずです。
 してみれば、家事審判官の職務の後見性を強調する広島高裁の見解をもって、適正とすべきであると考えます。
 以上
                             

後見監督責任に関する一考察
―後見監督に関する3 つの裁判例を素材として―

 国賠が認められたケース(広島)

 国賠が認められなかったケース(大阪)

三輪まどか氏

こうした悪用・不正に歯止めをかけるためにも,家庭裁判所をはじめ,後見監督人による後見監 督に期待が寄せられる。
しかし,この後見監督もまた,

平成24 年に広島高裁において,
家事審判官の監督責任を認めた事例
(広島高判平成24 年2 月20 日判タ1385 号141 頁・金商判1392 号49 頁・訟月59 巻3 号717 頁:以下「広島高裁判決」とする)記事

平成25 年に大阪地堺支部において,
家事審判官の監督と成年後見監督人の監督責任が問われ,成年後見監督人たる弁護士の監督責任を認めた事例
(大阪地堺支判平成25 年3 月14 日金商判1417 号21 頁・訟月60 巻4 号738 頁:以下「大 阪地裁判決」とする)

など,後見監督が十分になされているとは言いがたい。

国賠が認められたケース

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(広島)

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