成年後見人制度の矛盾 

第3回(成年後見人と家族の有り方) 


皆様の中に、成年後見員制度を使いたいという方があれば、当然家族、親族の間でどのようにしようかと相談をする機会があると思われます。成年後見を考えておられる方(以下本人と言い替えます。)に一番近い方が、成年後見人になられるのが理想でしょうが、社会的な身分、財力、あるいは面倒を見る時間的余裕と本人との相性などで、いろいろと相談されることになります。

ところで、現在はそういう成年後見人を弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職として成年後見人を引き受けてくれる方がおられます。それなら、成年後見人は専門の方(省略して司士後見人と言わせていただきます。)にお願いしようかという家族、親族の話し合いに落ち着く場合も多いようにお聞きいたしています。

私自身の場合は、亡母の兄の方が社会的にも信用ある責任感ある誠実な方だったので、最初は専任で引き受けてくれました。ところが、成年後見人制度にはもう一つ司士後見人が最も得意とする、成年後見人事務報告という煩わしい報告書を毎年1回(現在では毎年9月に報告義務)を出さなければならないよう定められています。そのため、最初の年だけは伯父が作成しましたが、神戸家裁明石支部の書記官の勧めもあり、翌年には弁護士との複数後見人制を取りました。(複数保佐人)

伯父は、いわゆる身上監護(入院相談、入院手続き、預貯金の管理、施設への移転相談、施設入居の手続きなど一切)は自分で引き受け、法律相談や成年後見事務報告のみ弁護士に頼んでいました。最初の弁護士さんは伯父の会社の顧問弁護士の方で、伯父とも私とも相性が良くすべてスムーズにいってましたが、裁判所の勧めもありその弁護士士事務所の若手の弁護士さんになってからは、成年後見の複数保佐人とは名ばかりで成年後見事務報告のみして他のことは伯父に任せきりでした、しかも、報酬付与だけは全て弁護士さんがとっておられました。当時でも、月3万円程度だったと思います、皆さまは成年後見事務と成年後見事務報告とを混同される方もおられるかと思いますが、はっきりと言えば伯父がやっていた身上監護も成年後見事務の一つなのです。成年後見事務にはあと大きく言えば、不動産の売買、各種契約などがあります。

私自身の例では、グループホームの入居契約、入居保証人などのほか、古い家の処分も伯父がやってくれています、もちろん、複数保佐人はノータッチで相変わらず成年後見事務報告だけをやっていました。伯父がなくなって、専任の保佐人になってからも私の妻に任せきりで、私が病気で危篤になっても何もしなかったような方でした。

今回は、私の例を出しましたが、専門職の司士後見人と言えども、よほど誠実でしっかりされた方で責任感ある方を裁判所に選定しないととんでもないことになると言いたいのです。もちろん、家族、親族の中から責任ある方を立てて、複数後見人にしてもいいのですが、報酬付与は現在の制度では、親族後見人には重きを置かないようになっています。報酬付与については、本人の資産状況にもよりますが、私の場合ですと被後見人時代が月6万円程度、被保佐人時代が月3.5万円程度位でした。とにかく、狭義の被後見人になりますと、いろいろと報酬付与が跳ね上がるようです。

皆様に、一つだけお話しておきたいのですが、ある年に最初の複数保佐人の弁護士さんが、当時は成年後見事務報告など確立していない時代だったので、個人事業者の会計報告(年次報告書)のようにまとめてほしいと家裁から依頼を受け、結局私が伯父に相談して、伯父の会社の顧問会計士に依頼して成年後見事務報告用の年次報告書を作成しましたが、公認会計士に依頼しても20万円で済みました。

ですから、あとは鏡だけを作成すれば、成年後見事務報告は完成しますので、どうしても成年後見制度を利用しようと考えておられるなら、安易に司士後見人に依頼しないで、家族、親族で今一度話し合いをされることをお勧めします。国も、司法当局などは親族後見人を進めていますし、別に後見事務報告のできるような資格の方(税理士、公認会計士や行政書士あるいは社会保険労務士など)と組まれて成年後見制度を利用されても良いと考えています。

最後に、私はその場合でも、前回のコラムで申しましたように、本人の意思を尊重して、被後見人が相当と医師の鑑定等々で示された場合は除いて、被保佐人としての申請をなされることおお勧めします。被後見人の立場としては、被後見人と被保佐人とでは雲泥の差があると言っておき、今日のコラムは置きます。


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