アメリカ後見改革の動向


社会福祉士  越川文雄氏


第7回 【Ⅲ 成年後見制度改革主要プレーヤーの活動】

4. 連邦「コミュニテイ・リビング局」
(Administration for Community Living:ACL)

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ACLは連邦「保健福祉省」(Department of Health and Human Services:HHS)の下に2012年に設立された。「高齢アメリカ人法」(the Older Americans Act)による高齢者に関するグラント・プログラムの計画・管理を行う「高齢化部門」(the Administration on Aging :AoA)や「障害者法」(Developmental Disabilities Act)により設定された「精神・知的障害部門」(the Administration on Intellectual and Developmental Disabilities :AIDD)を擁している。「米国法曹協会」(ABA)の「 法と高齢化委員会」と「全国州裁判所センター」 (NCSC)とが協力し、WINGSの拡大、強化に努めているが、その支援を行うと共に連邦レベルでの高齢者虐待対策法である「高齢者公正法」(the Elder Justice Act)の規定により関連省庁の調整、 研究開発の推進、州の「成人保護サービス」(Adult Protective Services:APS)の支援等を行っている。高齢者虐待の情報、技術提供、資金提供を行う「全国高齢者虐待センター」(National Center on Elder Abuse)を設けた。APSの政策と実践(虐待捜査資料を含む)に関するデータベース作りの「全国成人虐待レポートシステム」(The National Adult Maltreatment Reporting System :NAMRS)というプロジェクトを支援している。国連権利条約によりクローズアップされたSDMについては、上院の反対により条約批准が見送られたにも拘わらず、ACLは積極的な取り組み姿勢を示し、広報普及等を行う「全国SDM情報センター」(National Resource Center for Supported Decision-Making)の設立を支援した。また、2016年にはMinnesota州 にSDM模範センター(Center for Excellence in Supported Decision Making )を設立する助成を行った。

2017年に高齢者虐待防止・訴追法(Elder Abuse Prevention and Prosecution Act)が制定され、ACL助成対象に後見申立て審判手続き(犯歴チェック等)及びモニタリング(収支報告の電子ファイル化等)に関する州裁判所の改良モデル事業が追加されることになった。本事業の対象裁判所選定に当たっては「司法長官」(Attorney General) と「州司法機構」(State Justice Institute:SJI、これは州裁判所において「正義」の品質を改善するために補助金を与えて、全ての法廷が直面する一般の問題に関する革新的、効率的な解決を図ることを目的とする組織)の提案を斟酌すること及びモデル事業実施に当たっては州高齢者担当部局及び「成人保護サービス」(APS)と協力して進めることを条件とすることになった。




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